地中海西側うろうろ 58日目
夜、イタリアを出港する予定日から逆算してイタリア周遊の日程を組んでいたら気づいた。
シチリアに行っていたらタイトな日々になる、と。
もともと歴史に興味の薄い私がシチリアに行こうと思ったのは出発前に本(「ローマ亡き後の地中海世界(上・下)」塩野七生著)を読んでシチリアが重要な場所であることを感じたから。シラクサ、行ってみたいな~と思えた。
しかし、観光客いっぱいの街を歩いても、城壁に立ってもイマイチ感動出来ないのです。唯一、城壁や家の弾痕を見たときは生々しく想像してしまうけれども。
私にシチリアに行く価値はないのかも。
そう思って旦那に相談したら、「俺が行きたい」との事で目指す事になった。ほぼ1000kmの道を運転するのは彼なので、任せようかと。
まずはガソリン満タンにして食料買い出して、有料道路へと入った。
ずっとアドリア海を見下ろす高速道路だった。有料になる理由は丘と丘の間を高架で繋いでいるからだろう。日本同様、交通量の見込めない所に、トンネルと高架をじゃんじゃん作ると建設費がかさむ。地元の人は、そんなに必要としていない道路。
丘の上には昔ながらの城塞の村や町があった。
下のビーチ沿いはキャンプ場やリゾートマンションが立ち並び、夏以外はゴーストタウンのエリアが続く。つまり、最近まで町は無かったということだ。
日本の町並みや海辺の風景の違いを“海から突然やって来る危険を避けるには”という目線で想定していくと、ほとんどの風景の理由が見えてくる。不便とか狭いとかよりも、ずっと大切な事だったんだな。
昼前、旦那さんが体調不良で(車の)動きが緩慢になる。便意と吐き気がして何度もSAで停まるが改善せず、とうとう“シチリアを諦めて休む”宣言が出た。
原因はどうやら3割引のカマンベールチーズだそうな。
もちろん私も食べた。
欧州では日本よりも味の濃いチーズばかり食べていたので、濃いな、と感じた程度だった。ただまあ、男の人の方がお腹は弱いから、そうなのかもしれません。
そんな訳で、SAで急遽宿探しをして、ナポリで休む事にした。
ちょうど、イタリアのブーツの足首の辺りで火山地帯が途切れて横断しやすい場所にいた。体調不良のため、遅くて迷惑な車になっていたので、有料道路を下りて下道でゆっくりゆっくり進んだ。
マニュアル車なので代わってあげられないのがもどかしい。
彼は満身創痍ながらホテルに到着し、お吸い物を薄めて飲んで寝た。もう大丈夫そう。
チーズはしばらく食べないと言っているが、今後イタリアで何を食べる気なのだろう。
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