本を読み、現実を重ねる。
見ている風景よりも大昔の世界が見えたり、そこに見えない道が見えたりする時がある。ただの深い森に白い氷河が動いて見えたりする。見えないものが見えた(気がする)ときの感覚は、ランナーズハイに似ている。
中国に興味が持てなくて、司馬遼太郎の本の中でも手を出せずにいた「項羽と劉邦」が2年目の秋、読めた。
読むためには風景が想像できる必要がある。
現地で自分で体験してみて、一度は「なんで、そうなる?」と腹立たしくも文化の違いを疑問に感じたことがないと、伝えようとする文章の流れに乗れない。やっと、スタートラインに立てたのが2年目だった。
まず、「蒼天航路」で興味を持った水責めの城「下邳城」へ行ってみた。次に、「地図で見る『史記』」(うろ覚え→記事にするために調べたら違った↓↓)という本で戦いの重要地点と方向の大筋を地図で理解した。
そして、「項羽と劉邦」。恐る恐る開いてみると、読めた。圧倒的にかっこいいのは項羽なのに、最後に残るのは劉邦。今の中国の人々のようすや風景とリンクして、すとんと落ちた。
読むと、行きたい場所、見たい場所が増えるのが本のいいところ。
2回目に読むときには百度地図に印をつけながら読んだ。もっと中国の地形を深く知りたいと思って書店に向かった。
学校の先生の中には、読書の時間に図鑑を読むのをダメだという人もいるけれど、字の読めない私でも図鑑や地図で想像しながら補足の字を必死で見るのが楽しい。外国の本を楽しむには図鑑が最適だと思う。
そこで出会った「これが中国」という本。
一週間外出もせず、悪戦苦闘して読んでみた。
ちょいちょい中国政府や漢民族バンザイ的な文章が入るものの、ほとんどが客観的学術的に書かれていて面白かった。特にヒマラヤ造山帯からカザフスタンとの境目あたりの中国西部については詳細に地質・歴史両面からとらえていてよかった。
そして、また行きたい場所が増えた。この中毒性、ランナーズハイだ。
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